林野庁長官賞
南方熊楠顕彰館
矢田 康順
(株)インテグレ―ティド デザイン アソシエイツ
この作品は和歌山県出身の世界的博物学者、南方熊楠の研究資料を保存し、その偉業を伝えることを目的として建設されたもので、設計は公開のコンペによって選ばれている。
その特徴を記載すると下記のようである。
建物は周囲の町並みに溶け込むように、大小の切妻屋根の連続した形態になっている。
構造材、仕上げ材ともに集成材を用いないで、丸太などを使い、地元材の良さを表現するように工夫されている。
伝統的な方法である貫壁を基礎とした格子状の耐力壁で構成されている。現代技術の応用によって、視覚的にも意匠的にも優れた空間づくりに成功している。
木材の収縮に対しては、楔の追い締めで対応するように工夫し、それを地元市民の記念行事にしようという発想は秀逸である。
上記の理由により、最優秀賞として推薦した。
(公財)日本住宅・木材技術センター理事長賞
静かな家
藤田 克則
(株)設計工房禺
現在新築される住宅の多くは、構造的には木造でありながら、木材は隠蔽されて多国籍風の外観となっている。今回応募住宅の題名に「静かな家」という題名をつけた理由は、本来の木造住宅の姿に基盤を置いて、その傷みが目に見え、長寿住宅の対策が取りやすい、というところに重点を置いたからであった。
その特徴を記載すると下記のようである。
よけいな装飾のないシンプルな佇まい。
梁や桁などの構造材のほとんどは、杉の4寸角材だけで構成されている。
図面上で架構と間取りの整合性が読み取れること。
建具と室内空間の調和が美しいこと。
ローコスト住宅にも応用できる技術を提案したこと。
等である。
以上が、優秀賞として推薦した理由である。
(一般社)全国木材組合連合会会長賞
杉の家
佐藤 大
KD設計一級建築士事務所
施主は「日本の民家」「数奇屋風」に通ずる嗜好を持つ人であった。住宅展示場を見て回ったが、しっくり来ない、ということで、設計者との交流が始まったという。
「人間が老いていくように、家も歳月の経過をかもし出す姿と向き合いたい」という考えが基本になっている。広い土間やテラス、リビングにある薪ストーブ、シンプルな間取りや外見など、施主の住まいに対する思いやりやそのライフスタイルが、手に取るように判り、設計者と施主の良好な関係が想像できる。
住まい創りがどうあるべきか、を再考させられる作品であることと、住宅としてのバランスの良さから、優秀賞に推薦した。
特別賞
三重県立熊野古道センター
三重県政策部東紀州対策局
三重県庁
特別賞
太陽の里リハビリテーション研究室
井上 雅雄
(株)竹中工務店
特別賞
佐川美術館 樂吉左衛門館
内海 慎介
(株)竹中工務店
設計部設計3部門3グループ
審査委員賞
北本の家
増田 啓介・良子
増田アトリエ
審査委員賞
木造ドミノ住宅
半田 雅俊
半田雅俊設計事務所
努力賞
名古屋城資源回収箱用木製木枠
上地 浩之
名古屋木材青壮年会