木と人とまちをつなぐ──木村直樹さんの挑戦
こんにちは。令和7年度 日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)総務委員長の宮田昌幸です。今回は、7月11日に東京・深川の長谷川萬治商店で開催された「第2回経営研修会」の様子をレポートします。
「いきなり第2回?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。今年度の経営研修会は全3回のシリーズで、第1回は4月に開催済み。ただその時は、まだウッディレターの発行前だったため、レポート掲載は今回が初回になります。いずれ、第1回の内容も別途ご紹介する予定ですので、お楽しみにお待ちください。
さて、日本木青連で令和5年度から始まった「経営研修会」は、会員が経営に役立つ学びを深めることを目的とした勉強会です。令和7年度のテーマは「共生社会」。
現代は人とのつながりが希薄になり、孤立が深刻な課題となっています。誰もが自分らしく生きられる社会──障害や年齢、性別の違いを超えて支え合える社会の実現が、いま求められています。
このテーマのもと、日本木青連では今年度3回の研修会を企画。その第2回に登壇いただいたのが、株式会社木村設計A・Tの代表取締役・木村直樹さんです。
木村さんは、岩手県花巻市で設計事務所を営みながら、地域密着型の木造建築を手がけてきました。近年は福祉や不動産の分野にもフィールドを広げ、「共生社会」を形にする街づくりを実践されています。
活動の原点には、木材業を営んでいたお祖父様の存在、そして三女のご誕生があったそうです。ダウン症を持って生まれた娘さんとの日々の中で、「自分の手で、安心して暮らせる場所をつくりたい」という思いが芽生え、2019年には障がいのある方のためのグループホームを開設。その後も、放課後等デイサービスや訪問看護などを次々と展開し、建築と福祉をつなぐ新たな挑戦を続けています。
その実践の象徴が、放課後等デイサービス事業所「グレムレストぽとり」。商店街の空き地だった場所に、木のぬくもりを感じられる建物を建て、小学生や中学生が立ち寄りやすい豊かな空間に再生しました。設計・運営・不動産の視点を組み合わせた“まちの交差点”のような空間は、「こんな場所が自分のまちにもあったら」と思わずにはいられません。
特に印象に残ったのは、木村さんが大切にしているという一節。「私は、私にできることをしているだけ」。これは、南米の先住民に伝わる民話「ハチドリのひとしずく」に登場する言葉だそうです。
小さな存在でも、できることをやり続ける。その積み重ねが、社会に変化を生む──木村さんの姿は、木を使うことの意味や、人とまちとの関係を見つめ直すきっかけを私たちにくれました。
次回は最終回、第3回経営研修会。どんな話が飛び出すか、今から楽しみです。

<株式会社木村設計A・Tの代表取締役・木村直樹さん>

<障がい者の自立の場を増やすためのグループホーム事業を開始>

<放課後等デイサービス事業所「グレムレストぽとり」を含めた複合施設の計画>

<木村さんを紹介していただいた小友副会長と>
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