令和3年度 スローガン

WOOD ENTERTAINMENT

~意味ある価値ある誰もが共感する「木の世界」の創造~

 

 

はじめに

 

昭和31年から始まった日本木材青壮年団体連合会は、時を超えても不変である「日本木青連綱領」を一本の軸として活動を展開し、多くの先輩諸氏から連綿と受け継がれてまいりました。我々の目指すゴールは「木材界の発展を通じ、よりよい社会を建設しよう」であり、すべての活動・運動はこの明確なゴールを達成する手段にすぎません。私が考えるに、我々が木青連会員としてこのゴールを常に見据え、全国に存在するあまたの友と結び合い、時には手を差し伸べ助け合い、時には本気・本音でぶつかり合い、切磋琢磨することで一人ひとりが成長し続けることが木青連の進化となり、それが各企業へ還元され、さらなる価値創造に繋がる良循環こそ、真価であると考えます。折しも新型コロナウィルスによって、人々の生活様式や働き方、そして価値観までもが劇的な変化を遂げた今、多様な価値観が溢れ、もはや仕事と遊び、リアルとバーチャルが曖昧になり、人々は「楽しむ」、「共感する」そんな「物語」へ時間やお金を使い始める世界が表れています。つまり、「エンタメ」を軸とした新たな価値創造が求められています。その先には、必ずや我々が成し遂げるであろう「意味ある価値ある誰もが共感する『木の世界』の創造」があると信じて。 

 

 

新しい「木財」の価値を創造する

 

『木材を生業とする我々が本来取り組むべきは何か?』

もし、あなたがそのように問われたならばなんと答えるだろうか。私ならば「木材利用の意味を創ることにある」そのように答えます。近年、特に日本を含む先進国においてはモノが溢れ返り、生活するに困らない環境が実現しております。「衣食住」の住を長年支えてきた木材は、モノとして利便性・機能性・生産性が重視され、今日まで様々な新技術が開発され、社会の発展に寄与してきました。そのものさしで考えるのとは別に、「木材利用の意味は何か?」改めて創造が必要です。つまり、モノとしてあふれ返った、コモディティ化した木材を、「真の木財」へ昇華させる、新しい価値の創造が求められていると言えます。そのためには、業界内で視野を広げるだけでなく、視座を上げ、世の中の様々な物事を俯瞰し、メタ認知を高めてより抽象化して物事を見ることで、真の意味を見つける必要があります。コロナ渦でオンライン常時接続環境が普及し、SNSなどオンライン上での交流が増加した中で、リアルな世界にある「木財を使う意味」を改めて価値創造し、普及・推進することは業界の未来を左右する重要な課題です。私達は平成21年度、環境憲章を制定し、木材利用の地球環境貢献を謳い、「木づかい CO2 固定量認証制度」を作り、炭素固定量の見える化を実現しました。今こそ、この価値をリバイバルし、世界中に貢献できる共有価値として、新たに創造しよう。

 

 

新しい「森林」の価値を創造する

 

豊かな森林が存在し、我々木材業界はその生業を継続可能なことは周知の事実ですが、「伐って使い、また植えて育てる」、このサイクルでは、木材となるまで多くの年数と費用が掛かります。そして森林の現状は補助金に頼っても維持・管理は困難を極め、令和元年度から導入された森林環境譲与税の使途も各自治体任せで、地域差があるのが現状です。何よりも一番の問題は森林の維持・管理に関して、お金の損益という面で見ると、単なる「コスト」としか見られない点です。森林は、二酸化炭素を吸収・固定し、水源涵養や景観を維持し、そして野生生物の住処として多くの動植物になくてはならない面からも、全世界が共有する「資産」と言えます。近年、「森林サービス産業」という観点から、森林資源をどのようにマネタイズ・活用するか、各地で取り組みが始まり、コロナ渦では「ワーケーション」という新しい概念も出来、ますます注目が集まっています。人が集う価値のある場所にするには、エンターテインメント要素も含めて考える必要があります。我々は川上から川中、川下まで、様々な立場や業種が集う団体であります。その強みを活かし、我々が率先して他業界をも巻き込み「新たなる木の世界の創造」への一歩を踏み出そうではありませんか。 

 

 

伝統と歴史のある事業を創造する

 

長い歴史を通して、我々は数多くの事業を実施してきました。その中でも、「全国児童生徒木工工作コンクール」「木材活用コンクール」は長い歴史を有する事業です。これらのコンクールは「当初の目的」達成のために実施されてきましたが、近年は、コンクール等を実施することが目的化されていないでしょうか。改めて本来の意義や目的を見つめ直し、継続すべきは継続し、当初の目的を達成しているならば、新たな目的を見出し活動します。そして、木育に関して、幼少期の教育だけでなく、近年提唱されているリカレント教育として、幅広い年代へ訴求力のある事業も展開します。また、「ウッドトランスフォームコンペティション」は令和2年度より部会として新たな価値創造に取り組んでおります。部会との連携を密にし、新たな木財の価値創造に協力して参ります。 

 

 

持続可能な組織運営と広報を創造する

 

今まで述べてきたことを実行する上で欠かせないのは、会員から信頼され、いざとなった場合に頼りとなる組織運営、そして、木青連活動の広報です。しっかりと根を張った大樹は、より大きく枝葉を広げることができるが、それは根がしっかりしていればこそであり、それは木青連のみならず、すべてに言えることであります。また令和2年度から WEB 会議も実施され、時間や距離の制約を超え、会員間で木青連活動の意義と価値を共有する環境も整いました。今こそ、共感という名の強固な根で結ばれた仲間のネットワークとして、組織の再構築を目指します。そして、近年多発する自然災害に備え、業界として事業継続計画(BCP)について考えると共に、全国組織としての強みを活かした各自治体等との広域連携をも視野に入れ、新たなる可能性を広げる活動も行います。

また、どんなに崇高な理念を掲げて活動しても、その活動や、そもそもの我々の存在が知られていなければ、何の意味もありません。今までの広報は会員や一部のステークホルダーに向けてのみの広報をしてきましたが、私たちの活動や運動を実施する上で、業界のみならず、世の中すべての人々へ私たちの理念や活動の意義を普及・啓発する必要があります。業界という枠にとらわれずに、多くの人々へ届く広報活動の充実を図ります。 

 

 

結びに

 

「使う命」と書いて「使命(しめい)」と読みます。では皆様に問いたい。

 

あなたの使命は何ですか

我々の使命は何ですか

 

言い換えれば、「あなたを突き動かすものは何か?」(Driven)、それこそが「使命」と言えます。この世に生を受け、奇しくも、同年代の仲間として集う我々は、木青連活動を通して何を成し遂げるのか。私はこの数年間、常に自分の使命を考えてきました。

私自身、欠点も、出来ないことも沢山あります。会長の器という人間ではないのかも知れないし、身の程知らずと言われるかもしれません。時には失敗し、周りを傷つけ、自分自身も傷つき、自分の弱さ、未熟さに悔しい想いをしたことも多々あります。だがしかし、それは「挑戦」という場を私へ用意して頂いた日本木青連という組織や、それを通じて出会った多くの仲間が、時に温かく、時には厳しく私を見守り、愛情深く育てて頂いたからこそ今の私があります。この組織での経験は確実に、私自身を成長させ、「まずはやってみる」「できないかも知れないが、挑戦しよう」そのようなマインドを私にもたらしてくれました。そして、気が付けばそれを支えてくれる仲間も私に与えてくれました。だからこそ、この組織に報いることが、会長職を受ける最大の恩返しであり、私自身の使命であると信じています。

木青連活動を通じて、同じ時間を使い、同じ場所に集い、同じ課題に取り組むならば、常に自分の「使う命」の尊さを最大限活かし、かつ、みなさんにとっても「使う命」を最大限尊び、活かせる場所としたい。それこそが、この会に集う価値を今以上に高め、「木材界の発展を通じ、よりよい社会を建設しよう」という、会の目的に沿うことだと信じています。

たとえ周りからはバカにされようと、「無理だ」、「できる訳ない」などと否定されるような壮大な夢であっても、「使命」を帯びた木青連の仲間とならば可能だと信じています。だから私はこの一年、徹底的に自分の「使命」を大切に、そして何より会員一人ひとりの「使命」を大切にしたい。そして、どうせ同じ「使う命」ならば、まじめに楽しんで欲しい。徹底的に、時にはバカになり、時には真面目になり、真剣に楽しむことで、必ずやその時間はかけがえのない時間となり、何者にも代えがたい価値を持つこととなるでしょう。皆様にとってこの一年が「人生最高のエンターテイメントだった!」そう思える一年としたい。

それこそが、意味ある価値ある誰もが共感する『木の世界』の創造に繋がると信じて。

 

 

日本木材青壮年団体連合会

令和3年度会長 松原 輝和